ホワイトプラン、今回は「本物」か?

ソフトバンクモバイルは5日、月額基本使用料980円を払えば、ソフトバンクの携帯電話同士が通話無料(午後9時から午前1時を除く)になる新料金体系「ホワイトプラン」を16日に開始すると発表した。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/32625.html
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0701/05/news086.html

確かにシンプルな料金プラン

会見映像を見たが、プラン内容のプレゼンの資料は「月額基本料980円、ソフトバンク同士通話料無料(1〜21時まで)、それ以外の通話料21円/30秒」のみだった。
ソフトバンクユーザーが他社シェアと比べ段違いに少ない現状ではSB同士無料はおまけ程度に考えたとしても、値段的には他社のどのプランよりも安い。
ここに普通のユーザーなら絶対必要な月額315円のオプション「S!ベーシック(E-mailやweb機能)」をつけると、
ホワイトプラン980円+S!ベーシック315円=1295円 →これが実質的な基本料
さらに「パケットし放題」に加入して、あまり使わなかった場合、
ホワイトプラン980円+パケットし放題1029円+S!ベーシック315円=2324円 →webを使う人の基本料
パケットし放題MAXまで使う場合でも
ホワイトプラン980円+パケットし放題MAX4410円+S!ベーシック315円=5705円
以上のようになる。これなら「ソフトバンクに電話かける人なんて誰もいないし」というユーザーでもメリットはあるはずだ。

基本料は現状で最安、「営業マン」以外は最強のプラン?

ゴールドプラン予想外割で世間をお騒がせして、現ソフトバンクユーザーの自分にとっても客を騙すような手法に怒りを覚えていたところだが、今回のホワイトプランには前回のような「アラ」は今のところ見えてこない。孫氏は会見で「ただし〜」とかプランの横の「※」マークがつかないように気を使ったと話していたが、今回はオプションの抱き合わせとか、オプション加入制限、あるいはパケット通信料などが特別高いなどの条件は見当たらない。通話料に関しても、21円/30秒はauで最も基本料が安いプランである「プランSS」と変わらない水準であり、孫氏曰く「不特定多数の携帯電話や固定電話に頻繁に電話をかける、営業マンのような方には向かないがそれ以外のユーザーには満足いただける。」と話しているように、受信専門、メール専門にケータイを使っている人ならほとんどのユーザーは全体のコストも抑えられるはずだ。
またこのプランを出してしまっては先に入ったゴールドプランの加入者が損をするのではと思ったが、プランの切り替えにペナルティがないので、もしホワイトプランに加入したければ予想外割の無料キャンペーン分を使いきった後に切り替えればいいだけの話で、得はあっても損はない。ちなみにゴールドプランとの違いはSB携帯への200分の無料通話分がないだけである。つまり21時〜1時までの無料時間外のSB携帯に月50分以上通話しない場合はゴールドよりホワイトプランのほうがお得になる計算だ。孫氏は会見で「ゴールドプランの200分を使い切る人はほとんどいない」と話していたので、既存ゴールドプラン加入者の大半もホワイトへ以降したほうがメリットがあると思われる。また、ゴールド以外の既存顧客がプラン切り替えも同様にペナルティなしということなので、少し様子を見て本当に何もなさそうなら私もホワイトプランに変える予定だ。

と、ここまで分析してみると、なぜ最初からこのプランを打ち出さなかったのかが疑問である。ソフトバンクゴールドプラン騒動は扱いをないがしろにされた既存顧客はもちろん、公正取引委員会の指摘やシステム障害など顧客以外の人たちまで相当な悪印象を与えたことは間違いない。特にJ-phon時代からのユーザーである私にとっては完全に裏切られた気分で本気で乗り換えを考えていたところだった。実際はてな人力検索で「嫌いな会社とその理由を挙げてください」という質問があったが、かなりの割合で「ソフトバンク株式会社」が占めていたし、今回の会見での質疑応答にも「ソフトバンク=信用できない」という疑心暗鬼が染み付いていて、ほとんどの質問は「またどうせ何か仕掛けがあるんでしょ?」というのスタンスからのものだった。このようにゴールドプランのゴタゴタでソフトバンクが消費者に与えた信用失墜の影響は計り知れない。
しかしながらそこは「転んでもただじゃ起きない」ソフトバンク。今回の発表もそういった失敗を払拭する意味もあるのだろう。果てしてホワイトプランに自らがこぼしてつけた「黒いシミ」をきれいにしてくれるだけの「漂白力」があるかどうか・・・。答えは今後の契約純増数が出してくれるはずだ。

後はサービスの質で判断

値段的には今回のプランで一応完全に他社との差別化を図れた。あとのユーザーの判断材料はサービスの質になってくるだろう。端末の品揃えや機能はもちろん、通話品質やウェブサービスの充実も課題である。現在全キャリアの端末を試用させてもらっている私の印象からすると、ウェブサービスの質は他社に比べて明らかに劣っている。
特にGPS機能はほとんど申し訳程度のもので、対応機種も少ない。音楽機能もDocomoNapsterauLismoなどそれぞれ特色がある中でソフトバンクにはない。お財布ケータイ機能もDocomoauに続きソフトバンクが最も弱い。これらの機能をフルに使いたい人はいくら値段が安くても切り替えるほどの魅力にはならないだろう。ちなみに通話品質に関してはあまり変わらない印象だ。今後ソフトバンク基地局をさらに増やすことを公約しているので、このままいけば通話は今後ソフトバンクが一番になるかもしれない。
今回のプラン発表を受けて他社携帯からソフトバンクへの乗り換えを考えているユーザーは、従来使っていた機能がソフトバンクでも利用できるのかどうかをよく確かめてから決めたほうがよいだろう。