Second Lifeの注目のされ方は少し奇妙

今巷ではSecond Life(以下セカンドライフ)が企業やメディアを中心に注目を集めている。
SNSYouTubeに続き、世界で爆発的に広がると多くの人が予想するウェブサービスである。
つい先日も読売新聞の3面で大々的に特集が組まれていた。IT系のニュースサイトならともかく、こういった全国の一般紙に大きく取り上げられているのは珍しい。
しかしながら、こういったメディアの取り上げ方に少々違和感も感じている。なぜならこれまでのウェブサービスの注目のされ方とは決定的に異なる点がひとつあるからだ。
2ちゃんねるにしても、SNSにしても、動画サービスにしても、今や有名となったほとんどのサービスは、まずはユーザー側で火がついて、大きな社会現象として認知されるまでになって初めてマスコミに紹介されていた。そしてその流れを経て今度はビジネス目的とした企業が参入してくる。
しかしセカンドライフに関してはこういった流れが逆転している。(特に日本において)
セカンドライフの参加にいち早く手をつけたのは日本の大手企業やIT企業であり、次にこの動きを見たマスコミが注目して取り上げている。そして肝心のユーザーはと言うと、まだ蚊帳の外にいる印象である。(日本人のセカンドライフユーザーはまだ数万人と見られている)
注目の流れをわかりやすく書くと以下のようになる。

新しいサービス開始→アーリーアダプターの口コミ→IT系メディアが取り上げる→アーリーマジョリティが増加→企業が注目し始める→(新聞等の)一般メディアが特集を組む→レイトマジョリティの増加→企業が本格的に参入
と、根拠はないがだいたいこんな流れだろう。しかしセカンドライフの流れをみると、

サービス開始→イノベーターの発生→企業が参入→IT系メディア&一般紙が取り上げる(今このへん)→アーリーマジョリティの増加?

要するにセカンドライフではこれまでネットサービスの中心だったユーザーが抜け落ち、企業やマスコミが先行して参加している。著者が違和感を覚えたのはこの辺だ。

ネットサービスが本当の意味で市場原理に取り込まれてきた

上記のような現象が起こる背景としてひとつ言えるのが、セカンドライフは文字通り「もうひとつの世界」として丸ごと実世界の市場原理が働きつつある、もしくはすでに働いていると言うことだ。
それは従来からあった企業のネットメディアをつかったプロモーション活動の範疇を越え、投資活動の対象とされている。セカンドライフ内の「国土」=「不動産」を買い上げ、付加価値を付けて販売する手法はまさに不動産投資そのものである。かつて未開の地に積極的に踏み込み土地の権利を手にした者が後々莫大な資産を有するように、今のうちにセカンドライフの国土を買っておけば同じような事が起こるかもしれない。
しかしながらセカンドライフがいかに現実世界と変わらないと言えども、仮想世界には前提として大きな違いはある。
1)土地は有限ではない
2)移動にコストがかからない
このような違いがある限り、完全に現実世界の市場原理に沿った活動は行われないだろう。しかしセカンドライフの存在はあらためてネットと現実の垣根が薄くなっていることを感じさせる。

今後も引き続きセカンドライフについては追っていきたい。