いよいよネットサービスに法律が追いつかなくなってきた。〜ユーザーが増えればSecond Lifeは崩壊する?

リアルに近いサービスほど難しい「利用規約

ユーザーが利用するあらゆるウェブサービスにはいわゆる「サービス利用規約」が存在する。
これは一部の悪質なユーザーの好き勝手な行動により、他のユーザーが迷惑を被らないためでもあるし、争いの予防でもあるし、ひいてはサービスの存続維持のためでもある。
mixi』にしても『GREE』にしても『Yahoo!掲示板』にしても、利用規約CGMに必要不可欠な要素であり、かつてはなんでもありと言われた『2ちゃんねる』ですら、現在では「他人に迷惑をかけるのはやめよう」という基本ルールの下に、細かい削除規定が定められている。
このように各サービスが細かく利用規約を作らなければならない背景のひとつに、現行の法整備がネットに追いついていないことが挙げられる。大半は個人の良識や「ネチケット」(死後?)で解決できるレベルの問題だが、サービスの中身がリアルに近づけば近づくほど、被害を未然に防ぐために規制を細分化していかなければならない。

Second Lifeアノミーによって崩壊する可能性は十分ある

では、かつてないほどリアルに近づいたウェブサービス、『Second Life』はどうか?
リアルマネーが動くこの世界を維持するにはそれこそ現実社会の法律に近い法整備が求められる。しかし、米Linden Labsが全世界共通の利用規約をつくることは不可能に近い。仮に実現したとしてもあくまで「利用規約」であり、米Linden Labsが行使できる実行力は退会処分程度だ。
従来のウェブサービスではこの程度のペナルティで済んだことも、リアルマネーが動くSecond Life内では退会処分で済まない事件も起こってくるだろう。
では、各国の実社会の法律に従えば良いという意見もあるだろうが、それはそれで個々のケースで相当難しい判断が求められる。
Seconed Life内のバーチャルカジノ問題はその最たる例だ。
「FBI捜査官、Second Lifeのカジノを視察」(IT Mediaニュース)
このケースで米Linden Labsは「カジノ宣伝禁止」の結論を出したようだが、似たようなケースはこれからもいくらでも出てくるだろうし、「たとえ法律が明確であっても、同社がSecond Life内でギャンブルを監視する方法はないだろう」と新興技術専門弁護士ブレント・ブリトン氏も話すように、米Linden LabsがSecond Life内での世界警察となるのは、米国が世界のリーダーとして各国の戦争をすべて取り締まるよりも難しい。
ユーザー数が限られている現状ではともかく、今後一般的なユーザーが増えてくればこういった問題が一気に表面化する可能性は十分ある。そのときSecond Lifeの秩序は誰が守るのだろうか?もし秩序が崩壊すれば、ユーザーは一気にアノミーへと陥り、徐々にサービスを離れていくかもしれない。いや、逆に2ちゃんねるのように無秩序を楽しむような輩が集まって賑わう可能性もあるのだが・・・。金銭が動く世界ではそのリスクは2ちゃんねるの比ではない。