PASMOが品切れになった3つの背景


売れすぎて困るとはなんとも景気のいい話。しかしこれが公共性の高い道具なら問題です。

パスモ、定期券除き新規発売中止…売れすぎてカード不足に(読売ONLINE)
首都圏の鉄道やバスで利用できる共通ICカード乗車券「PASMOパスモ)」が予想以上の売れ行きで在庫が足りなくなり、定期券を除くカードの新規発売が、当分の間、中止されることになった。発行会社「パスモ」(東京都新宿区)が11日午前、発表した。8月中の再開を目指すという。(後略)

しかし次回発売再開が8月とはずいぶんと気の遠くなるような話です。PASMOカードが足りないというニュースが出回り始めたのが昨日、そして今日にはいきなり発売中止では「聞いて無いよ〜」と嘆いた人も多いのではないでしょうか。(幸い自分は定期の関係で発売直後には買っていたので助かりましたが)
それにしてもここまで売れすぎたPASMO。販売予測の甘さに批判の声も集まっているようですが、なぜここまでの事態を招いてしまったのか?

PASMOが品切れになった3つの背景

今回の騒動のそもそもの原因と言われているのが、発売会社「パスモ」販売予測が5年前に発売されたSuicaの売れゆきを根拠にはじき出されていたということです。
では、5年前の当時と今とではICカード乗車券を取り巻く環境がどう違うのでしょう。考えられる理由を挙げてみます。
交通系ICカード乗車券の圧倒的な認知度
Suicaの発売当時は「Suicaって何?それって食べられるの?」的な人が大半で、まだまだ一般層に浸透するには時間を要しました。そもそもこれまでにない先払い方式の電子マネーという新しい仕組みに、当時の警戒感は根強く様子見ムードもあったと思います。しかし今となってはICカード乗車券の利便性を知らない人の方が稀で、明らかに5年前とは消費者側の受け入れ態勢が整っています。
②利用価値の跳ね上がりによる新規購入者
これまでJR東日本でしか使えなかったSuicaは、乗換えを頻繁に行う人や、私鉄中心の鉄道利用者にとってはわざわざ買うほどのものではなかったかもしれません。しかしPASMOの登場により一枚のICカードで首都圏のほとんどの私鉄とバスとJRに乗れる事になりました。この利便性は従来のSuicaの比ではありません。ICカード乗車券の利用価値はこれまでの何倍にも膨れ上がったと言って良いでしょう。
③新しいもの好きの日本人
ご存知のとおり、SuicaPASMOは相互利用が可能で定期以外はほとんど機能的には変わりません。PASMOの売れ行きが利用価値増大によるものだとすれば、Suicaの売れ行きも同じくらい伸びても良いのでないかという疑問も生じます。確かにSuicaも通常よりは販売が増えたものの、そこまで大きな変化はないようです。この違いはやはり日本人の新しい物好きが高じてるのでしょう。ICカード乗車券を新規購入するなら多くの人は新しいPASMOのほうを選ぶでしょう。また、今までSuicaを持っていた人でもわざわざSuicaを返してPASMOを利用し始める人も相当数にのぼると思います。また、一部ではSuicaはバスが使えないなどの勘違いをしている人もいたかもしれません。

PASMOのイメージは逆に上がるのでは?

最後に、昨日ニュースで話していたコメンテーターは「今回の事態によるPASMOのイメージダウンは否めない」と話していましたが、逆に品薄がプレミア感を高めてイメージアップするんじゃないですかね。