「大気から二酸化炭素を吸収できる新技術」、開発に成功

ついに出た、二酸化炭素除去装置

コロンビア大学らが、どこにでも配置可能な、大気中の二酸化炭素を吸収する機器を開発し、実験に成功したというニュースが飛び込んできた。

温暖化対策に朗報? 大気から二酸化炭素を吸収できる新技術
コロンビア大学のクラウス・ラックナー教授と調査開発会社Global Research Technologies(GRT)は4月24日、大気中から二酸化炭素を吸収する「air extraction」のプロトタイプを開発、実験に成功したと発表した。同教授とGRTは2004年から開発を開始した。大気中から二酸化炭素分子を吸収し、固定化することができるため、発電所などに直接配備する必要がなく、世界中のどこに配置しても効果が期待できる。


温暖化の救世主となるのか

温暖化対策には我々一般人の地道な排出削減に加えて、科学技術による解決も望まれていたが、今回初めて【削減=守り】ではなく【吸収=攻め】の技術が開発されたことになる。しかもこの装置、固定する必要がなく世界中のどこへでも持ち運べるというからオドロキだ。この装置は開口部が1平方メートルの機器で、大気中から年間約10トンの二酸化炭素を吸収できるという。まだ実験段階ということで実際にはどれほどの効果が発揮され、どれほどの設置コストがかかるのかは未知数だが、重要なのは二酸化炭素を吸収するプロトタイプが出来上がったことにある。仕組みさえできれば性能向上や効率化、コスト低下はいくらでも後からついてくる。今後はさらに大規模な実験を行っていく予定というが、早いところ実動段階にまでこぎつけてもらいたいところだ。今後の展開に期待したい。

環境技術×意識変化=持続可能な環境保護

このようなすばらしい技術開発に成功したと聞くと、一瞬他人任せになって気が緩みそうになるところだが、これですべてが解決したと楽観視するのは非常に危険である。現在地球で起こっている環境問題は温暖化だけではないことを忘れてはならない。いずれにせよ、産業革命以後に人類の生活が地球環境に異常な負荷を与え続けていることに変わりはない。その数ある影響のひとつとして今、温暖化問題が最も切迫した危機として認識され始めているに過ぎないのだ。仮に科学技術によって温暖化の歯止めがかかったとしても、従来型の大量生産大量消費型の生活モデルを脱却しない限りは、大気汚染、土壌汚染、水質汚染、食糧問題、エネルギー問題、生態系の破壊等々による影響により、いずれまた違った形で危機が訪れるだろう。
「環境技術と人間の意識変化」。環境対策をする上で、この二つは車の両輪のようにどちらも欠かせない要素である。

余談

そういえば、攻殻機動隊S.A.Gの世界で、天気予報のアナウンスに「本日は二酸化炭素除去に伴うマイクロマシン散布が行われますので、気になる方はマスクをご着用ください」といったようなアナウンスが流れていたのを今回の記事を見ながらふと思い出した。将来的にはこういった技術も生まれてくるかもしれないなぁ。