ネット上の公開プロフィール「前略プロフィール」が中高生に大流行

“超”手軽な自己紹介作成ツール

「前略プロフィール」は、楽天グループのCGIBOY がサービスを提供する、自己紹介ページ作成サイトである。利用者の間では「プロフ」と呼ばれている。このサービスの利用者が、中高生を中心に2006年の夏あたりから急増しているという。ちなみに今日登録した自分のIDナンバーは900万を越していたが、これが登録数を表しているとすればとんでもない数だ。(もちろん複アカ、入退会の繰り返し登録を含んだ数字だろうけど)
使い方は“超”がつくほど簡単で、簡単なプロフィール項目を入力するだけですぐに初期設定は完了してしまう。もちろん追加で他のプロフィールやホームページのリンクなどを追加することもでき、また「ゲストブック」(通称「ゲスブ」)と呼ばれる個人掲示板も設置することができる。

数分で登録完了

筆者も早速登録を試みてみた。PCから登録作業を行ったのだが、ものの数分であっという間でにマイプロフが出来上がってしまった。なるほど、これなら携帯でもストレスなく気軽に使い始められる。ついでに「ゲストブック」も設置してみたのだが、小難しい初期設定は一切不要。管理画面で「設置する」のボタンを押すだけで一瞬で設置できる。中身は一般的なcgi掲示板で、色の変更など基本的なところはカスタマイズすることもできる。ゲストブックは紹介ページでは「足跡」と表記されていた。

軽い名刺交換のノリで使えば面白いかも

携帯でブログを開設する人は年々増えているとは思うが、やはり携帯で日記を更新するというのは少しハードルがあると思われる。若者に人気のモバゲータウンは、ブログよりも一段ハードルは下がるが、アバター必須など仮想の付き合いというイメージが強く、もちろんモバゲー会員でなければプロフィールを覗くことも出来ない。その点「前略プロフ」はアドレスさえ判れば誰にでもオープンなため、リアルの世界でも簡単な名刺代わりの役割を果たすと同時に、「ゲストブック」で簡単な情報交換もできる。言わばネット上に「自分専用の窓口」を超簡単に開設することができるわけだ。これは若者だけに限らず日ごろからPCベースでSNSを利用している大人にとっても便利なサービスと言ってよいのではないだろうか。例えば、初めて会った人とさらに交流をはかりたいとき、メールアドレスや電話番号の交換(名刺の交換)に変わり、プロフアドレスを交換する、なんてことも可能になってくる。

自分のプロフURLのQRコードを携帯しておくと便利


もうすでに中高生の間では行われているのかもしれないが、プロフの交換の際にQRコードを所持していると便利そう。今は機種によっては携帯アプリでQRコードを生成できる。自分の使用機種では無理なので「QRのススメ」で自分のプロフQRコードを作ってみた。こうしたQRコードを自分の携帯などに転送したり、紙に印刷して持ち歩けば、割と手軽に交換できる。
←左のはKazundoのプロフQRコード


リテラシーの低い未成年の利用には問題も

ところでこのプロフ、すでに問題点も色々と取り沙汰されている。以下はasahi.comからの引用。

(プロフには)住所や学校名など個人情報が書き込まれることもあることが、問題となりつつある。財団法人インターネット協会(東京都)には昨秋以降、中学校などからプロフ関連の問い合わせが寄せられるようになった。「中傷を書いたと疑われて悩んでいる」(茨城県の女子中学生)と相談もあった。 未成年者が「喫煙、飲酒をしている」と語る記述や、裸の写真を載せて「つきあってください」と援助交際を求める記述も少なくない。出会い系サイトへ誘導するプロフも出現している。
「前略」では個人情報の掲載や暴力的な表現は禁止している。楽天は「禁止表現を見回る体制をつくっているが、登録件数が多く、問題の発覚は多くは通報がきっかけ」と説明する。 違法・有害サイトの閲覧を規制するフィルタリングソフト最大手のアルプスシステムインテグレーションは「児童ポルノなど違法な画像や、出会い系サイトとしての利用も見られる」と分析する。昨年末からプロフを重点的に監視し始めた。

「誰でも閲覧可能」「中高生で流行の自己紹介サイト」。このキーワードを聞いただけでも上記のような問題点が噴出するであろうことは容易に想像できる。また、事件にまで発展しないまでも、プロフに掲載された個人情報が本人の預かり知らぬところであちこちに貼り付けられ、流出している。事実、私自身この「プロフ」の存在を初めて知ったきっかけは、2ちゃんねるに貼り付けられたURLからだった。また、「痛いプロフ集」といったように、笑いのネタとして勝手にまとめサイト化されている例も目にすることがある。こういった行為を止めることは不可能に近く、現状では情報公開者本人のリテラシーに依存するしかない。しかし、それをユーザーの大半を占める中高生にすべて求めるのは酷であり、いささか運営側の責任放棄とも言わざるを得ない。例えば、プロフの運営側が作成段階で注意を促すような啓蒙活動はできるはずである。何か重大な事件が発生してPTAの圧力がかかる前に、なんらかの対策は打っておくべきだろう。

追記報告 いきなり業者が押し寄せてびっくり

プロフを始めてからまだ数日しか経過していないが、試しに作ってみた「ゲストブック」にはいかがわしいサイト勧誘と思われる書き込みが、すでに5件も投稿されている。おそらく一般人ではなく業者だろう。しかし不思議な事に、リンクに飛んでみると貼られている写真はどうも素人のようだし、プロフに書いてある内容もいかにも一般人っぽい。(しかしところどころに誘うような仕込みを入れているところは芸が細かい)
で、最後の【Myリンク】でアダルト課金サイトへの誘導がされている。新手のプロフ専門業者か?
それにしても一般の書き込みがゼロで、いきない業者が押し寄せるとは・・・。とても小中高生が大半を占めるサイトとは思えない。これでは単なる18禁の出会い系サイトだ。
この状況を運勢側は当然知ってはいるのだろうが、対策を放置してしまえばいずれ大きな問題が表面化してくるのも時間の問題に思える。


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