TwitterライクなSNSサービスまとめ

昨日は「Timelog」というTwitterライクなSNSサービスをレビューしたが、調べていくうちに、他にも色々と類似サービスのα版、β版がリリースされていることに気がついた。ひとつひとつユーザー登録してレビューする時間は残念ながらないので、代わりに概要をまとめたリンク集を作ってみた。参考までにどうぞ。

TwitterライクなSNSサービスリンク集

名称 image 運営事業者 リリース日 概要
DooViiチャット」            screenshot アクセラートジャパン                4月9日                   ある範囲内の複数ユーザーに向けメッセージを発信し、反応してきたユーザーやそのユーザーの友人ともチャットができる仕組み。ユーザー登録/サービス利用は無料で、専用サイト上でのやり取りだけでなくMSNメッセンジャーでの応答も可能。友人追加機能のほか、全世界に公開/友人の友人まで公開といった範囲指定機能も提供している。
Timelog screenshot ナノティ 5月9日 主な機能は興味のあるサイト URL を投稿して共有できる「みんなのブックマーク」、「Good&New」に投稿したニュースなどを共有できる「みんなの Good&New」、「Todo リスト」、メモを投稿する際にキーワードで分類分けする「みんなのタグリスト」など。 Timelogに関してのエントリーはこちら
もごもご screenshot ドラゴンフィールド 5月9日 Twitterとの違いで言えば、HARU.FMと同じく投稿したエントリに対してコメントを付けられる機能、あるいは自分のマイページにどのユーザーが訪れたか分かる「あしあと機能」である。ユニークなのが「もごリンク」、これは興味あるキーワードをユーザーが登録しておくと、自動的にタグ化、分類され、同じキーワードを登録しているユーザー同士と知り合えるというもの。いちいちプロフィールを検索しなくても、キーワードで一発抽出できるのが便利だ。
HARU.FM screenshot アセントネットワークス 5月11日 背景以外のインターフェースはほとんどTwitterといっしょ。ただ、一つ一つのメッセージ投稿に、日記のようにレスがつけられるようになっていて、ボタンひとつで展開したり折りたたんだりすることができる。この機能を導入したことでメンバー個人間の無駄なチャット的会話が気にならなくなる利点がうかがえる。→関連記事
nowa(ノワ)」 screenshot ライブドア 5月末日 Livedoorが現在クローズドβ版を公開したSNS。一般の登録は五月末から開始する模様。nowa は、初心者をメインターゲットとしており、従来の Blog サービスより簡単でシンプルな設定・操作で始められるように設計されているという。レビューの投稿・共有や、記事やプロフィールの公開範囲設定が簡単に行える。携帯電話からも、ほとんどのサービスが利用可能となっている。独自のユニークな機能が「ノワエン」と呼ばれるポイント制度だ。nowa でレビューや Blog を書いたり、お気に入り登録されることによって、「nowa」サービス内で使用できる「ノワエン」というポイントが蓄積される。「ノワエン」は、他の利用者にメッセージを送ったり、コメントを書いたり、フレンドではない人をお気に入り登録するときなどに必要になる。これは同時に、スパムのコメントやメッセージなどの防止としても機能する。

以上、順次追加して行く予定です。

日本版Twitter?「Timelog」が登場

ユーザーの「メモ」から始まるSNSTimelog

Twitter人気が今年3月に急遽爆発してから早二ヶ月。「モバトゥイッター」など、本家の支援系サービスは割りと早くから流通し始めていたが、日本でもいよいよTwitterライクなサービスが次々とリリースされ始められている。今回はそのひとつである「Timelog」を簡単に紹介したい。

「今、何をしているの?」Blog プラス SNS 的メモ共有サービス -Japan.internet.com
SNS 構築サービスのナノティは2007年5月9日、Blog を簡単にして SNS 的コミュニケーション機能を付加した新サービス「Timelog」アルファ版を発表した。
(中略)
主な機能には、興味のあるサイト URL を投稿して共有できる「みんなのブックマーク」、「Good&New」に投稿したニュースなどを共有できる「みんなの Good&New」、「Todo リスト」、メモを投稿する際にキーワードで分類分けする「みんなのタグリスト」など。


単にTwitterもどきとは言えない様々な機能


さっそく筆者も使ってみたが・・・、うーんこれは只のTwitterもどきではなさそうということはちょっと使ってみただけでもわかる。本家にはない様々な機能が付加されている。
例えば上の記事にないもので挙げれば友人招待機能がユニークだ。(右図を参照)「Timelog」のメニュー画面で「友達を招待」をクリックすると、1)通常メール 2)mixiのマイミク 3)GREEのフレンド 4)携帯のQRコード の計4種類のルートから友人を招待することができる。もちろんTwitterの特徴であった、「誰でも気軽にadd」の文化も継承されているようなので、バーチャルとリアルの両面からソーシャルネットワークを構築を目指しているのだろう。
ユーザーのカスタマイズ性も考えられている。ページの自動更新は30秒、60秒、300秒、なし、と4段階でユーザーが設定できる。(この辺のきめ細やかさは昨日紹介したiGooleにも見習ってほしいものだ)また、背景も現在7種類のテーマから選択することができる。
記事に紹介してある「参加者が投稿したメッセージにタブを追加する事で、Timelog全体でどんな類の投稿がされているのかがひと目でわかる。これは個々が過去にどんな投稿をしたのか見返すときにも役立つ。
記事で紹介されている「みんなのブックマーク」や「Good&New」、「ToDoリスト」などはサイト名のとおり、その時々のメモ的要素が多く含まれている。ただし、それをSNS的コミュニケーションにつなげているのは面白い試みだ。それぞれが自分のためだけにUPした断片的な情報も、タグをはじめとするシステムの力でうまく関連付けられれば、それだけでひとつのCGMコンテンツにもなり得るという発想だ。

Timelogのそれぞれの機能の詳細はこちらが詳しい→ 「Time log wiki」

iGoogleが意味するもの【考察編】

iGoogleは我々のネット行動を根本から変える

「してやられた」と言うのが正直な感想である。
Googleはこれまでにも「Gmail」や「Google Map」、「Google Earth」など様々な斬新なネットツールを提供し続けてきた。しかし(検索を除き)自分にとってはあくまで“必要なときだけ利用させてもらう”ものに過ぎなかった。その証拠にGmailが登場したときも、すでにYahoo!で2GBのキャパを確保し、詳細な振り分けや迷惑メールフィルタ設定を施している状況で、あえて前者をメインで使う必要性は感じられなかったし、ブラウザのスタートアップページは相変わらず「My Yahoo!」を重宝していた。国内ポータルという強みを生かした豊富なコンテンツに加え、自分流にカスタマイズしつくした“ホーム”にはそれなりに満足していたし、住みなれた土地をわざわざ引越す予定はしばらくは考えていなかった。
しかし今回「物は試し」という軽いスタンスで使ってみた「iGoogle」は、その住みなれた土地を離れたくなるほどのポテンシャルを有していた。*1「すごい!!」と皆が感動しながらも普段はあまり利用しない「Google Earth」より、はるかに大きな影響力を「iGoogle」は我々にもたらそうとしている。
みなさんは、自宅のPCでブラウザを開いたとき、最初に表示されるページはどこだろうか?おそらく多くの人はYahoo!などのポータルサイトか、Googleなどの検索エンジンと答えるだろう。最近ではSNSをスタートアップにする人も多いかもしれない。ちなみに自分の場合は先ほど述べた「My Yahoo!」である。*2まずはそこでメールやニュース、株価等をチェックし、身の回りや世の中の動向を把握する。また、必要ならば電車の乗り換え検索などもそこで済ませる。こうして一通りネットに潜る準備を整えた後、mixiなりニコニコ動画なり2ちゃんねるなり(他にも色々あるが)を巡回していく。
こうした一連の過程で必ず立ち寄るのはもちろんスタートアップページである。広大なネット上のどこへ出かけるにしても、必ずこのページだけは最初に通るのだ。まさしく情報のゲートウェイ、「ポータル」である。目新しいサービスは片っ端から覗いてみる自分ではあるが、ネット上の“ホーム”だけはころころと代える気にはならない。
ただ、iGoogleそんな私の“ホーム”を、不覚にも代えてしまいたくなるほどの魅力的な空間だった。“ホーム”が変わるということは、私自身のネット行動が根本的に変わるということだ。
そう、まんまとGoogleの思惑に自ら嵌っているのである。

完全体へと進化の道を歩むGoogle

Googleで検索製品およびユーザーエクスペリエンス担当バイスプレジデントであるMarissa Mayer氏は、「パーソナライズはGoogleが成し遂げた最も大きな進歩の1つ」と述べた。
この発言は真であろう。Googleの目指すところが「世の中のありとあらゆる情報をGoogleを通じて個人が調べられること」だとすれば、個別にカスタマイズされた“ホーム”たる玄関口までをGoogleが用意するのは必然の流れだ。これまでGoogleはブラウザに装備されたGoogleツールバーによって代替してきたが、それでは「まだぬるい」というところだろう。
iGoogleが人々の“ホーム”を独占できれば、ますますGoogleという存在は完全体へと近づいていく。その理由を以下に述べる。

Googleアカウント人口の増加

まず、iGoogleを利用するためには当然ながら個人情報と結び付けられた「Googleアカウント」が必要になる。つまり、iGoogleを開いた瞬間から、すべての検索行動がGoogleに覗かれ*3記録されている状態になる。
これはGoogleにとってより有益な情報を収集できる一方で、我々にとっての利便性ももたらしてくれる。そのひとつが「パーソナライズド検索」である。以下にこれに関する説明を引用する。

パーソナライズド検索は、ユーザーの検索履歴を元に、よりユーザーにマッチした検索結果を提示する技術だ。簡単に言うと、動物に関する検索を日々行う事が多いユーザーが「キリン」と検索した場合、「飲料メーカーのキリン」ではなく「動物のキリン」に関する情報が優先的に上位表示される仕組みだ。2007年2月より、Google アカウントを新規に取得したユーザに対しては、このパーソナライズド検索が標準で有効となっている。(japan.internet.comの記事より)

これにより、我々は以前よりさらに精度の高い検索結果を得られる可能性が高くなる。また、検索履歴も蓄積されるので、履歴から物を調べなおすこともできる。この機能はブラウザにも標準装備されているものの、検索した語句もセットになって表示される分、使い勝手は格段に良い。
検索結果の蓄積は、Googleにとってもさらに精度の高いアドワーズ広告の配信を可能にするだろう。
また、これはあくまで想像だが、iGoogleに追加したコンテンツからユーザーの嗜好を読み取り、パーソナライズドされた広告配信を、iGoogle画面に表示するようになるかもしれない。

他のGoogle関連サービスとのシナジー効果

iGoogleは既存のGoogle関連サービスとのシナジー効果も最大限発揮するだろう。
【導入編】でも述べたように、iGoogleでは「ガジェッド」と呼ばれるコンテンツを追加していく事によってカスタマイズできる。このガジェッドは様々な作り手が参入しているが、もちろんGoogleで提供するサービスも主要なガジェットとして含まれる。ユーザーのホームにそれらサービスが配置されれば、これまで以上の頻度で利用されることは間違いない。もちろん、それらの履歴はアカウント情報とセットで記録されていくことも見逃せない。

「時間」「空間」「個人」情報の融合

iGoogleのユニークなサービスのひとつに、「時間によって変わる背景」がある。例えば今私はテーマを「Berch」に設定しているのだが、太陽の位置が時間の経過と共に変わっていく。このようなサービスはPCや携帯電話といった媒体では特に珍しくもないのだが、WEBの中でこれを再現しているのは新鮮に感じた。ただ、このサービスの本質は単に人々の目を楽しませる為だけではないことは明らかだ。
←時間の経過と共に太陽の位置が変わる背景
おそらく、iGoogleが目指すものは「時間」「空間」「個人」のそれぞれの情報を融合し、解析した上で生み出す、究極のパーソナライズドサービスの提供だろう。そのサービスとは検索であり、広告であり、RSS配信である。そうやって提供したサービスはまた新たな情報をGoogleにもたらし、次の開発に結びつけるというスパイラルが生まれていく。
iGoogleは、Googleを完成系へと進化させるための大きな仕掛けである。それがわかっていながら使ってしまう(使わせてしまう)ところに、Googleの凄さと一抹の不気味さを感じてしまう。

追記 自動更新している模様

ときどきエントリーを書きながらブラウザが挙動不審な動きをすると思ったら、iGogleは自動でデータを更新しているみたいです。う〜ん、チャットじゃないんだからそこまでのおせっかいは迷惑かも・・・。

*1:細かなところを挙げれば検索結果を新規に展開したり、Google内のどんなページからもホームに戻れるようになれば、なお使い勝手は良くなるはずだ。

*2:検索だけならGoogleツールバーがあるので事足りる

*3:語弊がないように正確にいうと、実際に監視してデータを蓄積しているのは、あくまでGoogleのコンピュータシステムであり、人間が監視しているわけではない。もちろん後でGoogleのなかの人に覗かれる可能性は皆無ではないだろうが・・・。

iGoogleを使ってみよう【導入編】

iGoogleのデフォルト画面

iGoogleとは

一言でいえば米Googleが先月4月30日(米国時間)に発表したカスタマイズ可能なポータルサービスである。元々Googleには「パーソナライズドホーム」という似たようなサービスがあったが、今回はネーミングと共に様々な新機能や、テーマ選択機能を追加するなど、大幅なリニュアールが施されている。日本では「My Yahoo!」などが類似のサービスとなる。

iGoogleの始め方

1.Googleアカウントを持っていない人はまず取得しよう。
トップページ右上の「アカウント」から取得できる

2.早速ログイン!
アカウントを取得したらログイン後の手順に従うか、Googleトップページ右上に表示されている「iGoogle」のリンクをクリック!

3.テーマを選択しよう
ページ右上のテーマ設定から、好みのテーマを設定する。ちなみに現在は「Classic」「Berch」「City」など7種類。おそらく今後は順次増えていくことだろう。

4.地域を選択しよう
テーマと同じく、右側の設定項目からプルダウンメニューで自分の住んでいる地域を選択することができる。例えば「日本」「東京」など。

5.タブを追加してみよう(コンテンツ一覧を見ながらタブの構想をすると良い)
ページを見やすくするために、自分の好みでタブを追加してみよう。例えば「ホーム」タブはメールやスケジュール確認。「ニュース」タブはニュース専門ページ。「ギャラリー」タブはNASA衛星写真や世界中の写真ニュース。「ファイナンス」タブは株価情報専用ページ。「エンターテイメント」タブはYoutubeや芸能ニュース、などなど。組み合わせは自分次第で無限大。ニュースの属性ごとにタブを分けるのも手である。

6.コンテンツを追加しよう
それぞれのタブには「ガジェット」と呼ばれるコンテンツをどんどん追加することができる。タブの基本配置が決まったらそれぞれのタブにマッチするコンテンツも追加しよう。タブの属性無視で片っ端から追加していくと後で整理が面倒になる(経験談

7.コンテンツを並べ替えよう
タブとコンテンツが固まったら、今度は自分が見やすいようにページ内のコンテンツを上下左右に並べ替えよう。例えば頻繁に使うメールや検索は上の方に表示させ、使用頻度の低いコンテンツは下に置くなど。ほかにも一列目一般ニュース、二列目スポーツニュース、三列目芸能ニュースなど、ニュース属性ごとに並べ替えるのも一興。

8.コンテンツの設定を変えてみよう
コンテンツはそれぞれに設定項目があり、場所や地域を設定したり、ニュース記事の表示件数を調整できたりする。また株価情報では銘柄コードを登録しないと使い物にならない。

9.自分専用「iGoogle」の出来上がり!
使い続けながら少しずつ調整してみよう。また、新しいテーマやコンテンツが追加されていることもあるので、たまに更新チェックしてみるのも吉。

イマドキ若者のケータイ事情

CNET Japan有識者コラムで、ドコモの村上勇一郎氏が「5分喋れば長電話」「お風呂でメールは当たり前」--今どき若者のケータイ事情 - CNET Japanなるエントリーを書いていた。今、若者の間では携帯がどのように使われているのだろうか?興味深い記述が何点かあったので、まずは要点をまとめながら考察していこうと思う。

ケータイのみでネットを利用する人口の増加


2006年に総務省が発表した統計資料(右図参照)によると、「PCのみからインターネットにアクセスする人(1585万人)」を、「ケータイのみからアクセスする人(1921万人)」が上回っている。その背景としては以下のことが挙げられる。

通信料を気にせず使えるようになったため、携帯からのネット使用に抵抗感がなくなった

  • 3G携帯の普及

パケット定額制対応機種の普及の他、通信速度も向上したことで以前よりはストレスを感じなくなった。また、テキストベースの殺風景なサイトが多かった以前に比べ、表現のリッチ化も可能にした。

  • 携帯専用サイトの広がり

勝手サイトの爆発的増加により、携帯で利用できるコンテンツやサービスがこの数年で飛躍的に伸びた。

  • PCサイトへの対応

最近ではPCサイトをそのまま閲覧できる携帯も多くなった。

  • 導入が簡単

筆者も今まで数人ほど友人のPCネット導入の手伝いをした事があるのだが、PCネット接続未経験者にとっては、「家にネット環境を導入する」行為が予想以上にハードルが高いと感じているのに気づいた。申し込みさえしてしまえばあとは業者に任せてしまえばいいのだが、まず回線選びの段階で「ADSLって何?」「光回線のプランが多すぎ」「回線工事?部屋に穴あけるのは嫌だ」などの混乱が生じ、その段階で一人ではあきらめてしまっていたという話だった。それに比べ携帯ならすでに持っている端末ですぐにネットができる。PCネット接続未経験者にとってはわざわざ頭を悩ますなら携帯の機能で十分といったところなのだろう。

このような流れは今後も加速して行くと見られ、携帯のみでネットを利用する人口はこれからも着々と増加していくことだろう。

若者の携帯事情

携帯のみでネットを利用する層の多くは「若者」である。その若者の携帯事情について村上氏の記事をまとめるとこうなる。

  • 5分以上は長電話

「通話=高い」「パケット通信=安い」という認識。

  • 場面で決める

待ち合わせ場所を細かく事前に打ち合わせするのではなく、大体の場所(例えば「渋谷に学校終わったら」等」)だけを指定しておき、実際の集合はその場の雰囲気や状況によって携帯で連絡をとり、決めていく。

  • 湯船でもメール、ネット

水が入らないようにジップロックなどで携帯をガードしながら、湯船で携帯を使う。中の空気を吸引するほどボタンが打ちやすいらしい。そこまでして使おうとする姿勢には頭が下がる。

  • メールの使用頻度は低下

著者の高校生、大学生前半ごろは、携帯の主な使用目的と言えばメールだったが、最近では若者のメール送信件数が減ってきているらしい。その代わりに使用頻度が増えているのがmixiやモバゲー、あるいは先日紹介したプロフなどのソーシャルネットワークサービスである。相手に直接働きかける「プッシュ型」から、SNSなどの更新通知機能が付加された「プル、プッシュ複合型」のサービスを利用する若者の増加により、コミュニケーションスタイルも、「1対1」から「1対多」にシフトしているのではないかと村上氏は指摘している。

  • コンテンツのつまみ食い現象

携帯ユーザーはスナック化されたサービスを好むという。具体例として村上氏は「ゲームならばロールプレイングゲームのような重厚長大型のゲームでなく、ライトゲーム、カジュアルゲームと呼ばれるミニゲーム、音楽で言うとアルバムよりシングル、デジタル楽曲ダウンロード等の1曲 1曲を好む傾向のことである。」という。
着うたに関しても、楽曲丸ごとダウンロードよりも、サビの部分だけで十分という意見が多いと言う。こういった若者の「つまみ食い」現象は、単に「飽きっぽい若者の性質」と言うよりは、情報過多の現代において若者が適応するために獲得した知恵なのかもしれない。

所感

イマドキの若者という表現をタイトルに使っているが、年齢的には筆者も一応「若者」の部類には入る年齢である。しかしこれまでどっぷりPC文化の中で育った自分にとって、現代の10代〜20代前半の携帯文化は年齢差以上の世代間ギャップを感じずにはいられない。今でこそ意識して携帯文化にも身を置こうと努力はしているが、それまでは携帯でネットなど「いちいちボタン押すのが面倒」「画面を全部見るまでスライドさせるのが面倒*1」「通信時間がイライラする」などネガティブなイメージのほうが付きまとっていた。あくまで携帯ネットはPCネットの補足的な位置づけであった。
しかし、最近では携帯のネット通信機能は日ごとに進化し、また携帯でしか実現し得ない独自の進化も遂げている。この変化をいち早くキャッチし、独自の利用法を確立するのもやはり若者だ。これまでに書いたような若者特有の携帯利用法には、次世代のヒットサービスのヒントが隠されていると言えよう。

*1:そういえばなぜ携帯にはスクロールホイール付き機種がほとんどないのだろうか?あれがあるだけでずいぶんと操作性が良くなると思うのだが・・・。

米Yahoo!とマイクロソフトに業務提携の動き

米国のGoogleAmazon、ebay、など主要ネット企業が次々と好決算を発表する中、一人苦しい状況が続く米Yahoo!が、IT界の巨人・マイクロソフト経営統合を視野に入れた業務提携交渉を続けていることが、4日の米紙ウォールストリートジャーナル(電子版)で明らかになった。

勝ち負けが明確に表れ始めた米検索市場

日本の検索市場においては依然としてYahoo!Googleを上回っているが、米国においては完全にYahoo!Googleに追い抜かれている状態にある。(下図参照)
両者の売上高を4半期ベースで比較すると、2004年までは拮抗状態にあったものの、2005年頃から伸び悩む米Yahoo!を尻目にGoogleはぐいぐい売上高をアップさせ、2007年の1Qには二倍程度の差が開いてしまっている。さらには、米Yahoo!にとって過去15四半期続いてきた売上高の記録更新が止まるという追い討ちも重なり、4月17日の決算発表後、同社の株価は急落した。
←2005年を境に徐々に差が開く売上高

Googleに危機感を募らせるMSとYahoo!


しかし最近になって、米Yahoo!の株価は急速なV字回復を見せた。米マイクロソフトYahoo!の買収に乗り出すのでは?という観測が流れたためだ。実際に両者は過去にも業務提携の交渉を行っており、今回の業務提携交渉も決して現実味がないわけではない。(しかし実際のところはYahoo!のトップにマイクロソフトに対し嫌悪感を抱いている人間もいるようで、大掛かりな合併買収までには至らないという情報もある)
ただ、こういった両者の動きからは明らかに米Googleに対する危機感が表れている。特に先日インターネット・マーケティング大手の「ダブルクリック」買収合戦の末Googleに敗れたMSのトップの苛立ちは相当なものだろう。
以下にasahi.comに掲載されている、GoogleCEOエリック・シュミット氏のインタビューの一部を引用する。

「このまま進むと、マイクロソフトやIBM、オラクルといった大手と正面から競争することになりませんか?」と尋ねると、「ノット・IBM、ノット・オラクル(IBMやオラクルとは競争しない)」と答え、微笑した。「マイクロソフトとは競う」という意味だ。

ここで例に出された「競争しない」企業でいえば、おそらくAmazonやeBayなども同時に含まれるであろう。一方、マイクロソフトとは競争関係になってしまうのは一体なぜか?それはGoogleとMSはひとつのサービスの競合といった狭い世界ではなく、今後のIT業界の大きな流れを決定づけるような根本的な部分での競合関係にあるからだ。これは梅田望夫氏の著書「ウェブ進化論」でいうところの「あちら側」と「こちら側」の戦いでもある。
「こちら側(リアル経済圏)」で栄華を極めたマイクロソフトは今、徐々に世界の動向の主流になりつつある「あちら側(ネット経済圏)」の主権をGoogleから取り返すことに躍起になっている。そして、「あちら側」の世界でGoogleに覇権を奪われた米Yahoo!とタッグを組んで巻き返しをはかる。Googleに危機感を募らせる米Yahoo!とMSの合併騒動には、MSのそんな思惑も見え隠れする。

シリーズ【第一弾】『WEB3.0のキーファクター』〜リアルタイム共有体験

日々、様々な媒体を通じてネット社会で巻き起こる出来事をウォッチし、考察していると、時々「これは次世代のムーブメントの重要なファクターとなるのでは?」と感じることがある。それはひとつの「これはすごい!」と感じるサービスを使う瞬間というわけではなく、ひとつひとつのサービスやアイディアを吸収し、蓄積された中から拾い出されるものだ。
今後はこうして拾い出された考えを、備忘録の意味も含め『WEB3.0のキーファクター』というシリーズでまとめていこうと思う。そして第一弾として今回は「リアルタイム共有体験」について論じていく。

擬似共有体験を実現した「ニコニコ動画

以前投稿したニコニコ動画についてのエントリーでは、このサービスの面白さの秘密のひとつに、家族や友人同士でテレビを見て盛り上がるのと似た、オンライン動画を通じた擬似共有体験であると述べた。「今、他の誰かと同じものを見ている」という共有感覚は、一人のそれ以上の大きな興奮や感動を生む。
しかしニコニコ動画で編集された映像は、実際には同時に見ているわけでも書き込みんでるわけでもない。あくまで時間差のある擬似共有感覚である。*1

スポーツ観戦にみる共有感覚の重要性

現実社会でもっとも共有感覚を実感できるのはおそらくスポーツ観戦だ。ちなみにスポーツにまったく興味がない人種は、この共有感覚が理解できない故に、時にこのようなセリフを吐く。
「ビデオに録って後で見ればいいじゃない?」
「わざわざスタジアムに行くより家で見たほうが解説の良い映像見れるのに・・・。」
これはスポーツ観戦の醍醐味というものを微塵も感じられない人の典型的な発言だ。こういった価値観の人々にとって、チケットなしで試合会場周辺に詰め掛ける連中はおそらく宇宙人よりも理解しがたい集団に見えるのだろう。
言うまでもなく、一見非スポーツ観戦層にとって非合理的ともとれる彼らの行動は、「周りといっしょに盛り上がる」あるいは「今この瞬間の出来事を見逃さない」ためにある。彼らが求めているのは映像芸術ではなく、まぎれもない共有体験である。*2つまり、スポーツ観戦がもっとも人々を魅了するのは、その実、自分とそれ以外の他人との間で起こっている、リアルタイムな共有感覚なのだ。その証拠にミーハーを巻き込んであれだけ盛り上がった日韓W杯の高画質映像を2007年現在独りで見返したとしても、当時のような興奮を再現する事は絶対に不可能である。
これは何もスポーツ観戦に限った事ではなく、演劇や映画、コンサート、ライブなどにも共通する感覚と言える。

2ちゃんねるの実況板を実況するツール「Balloo!」

2ちゃんねるには放送されてるTV番組について語り合う(実況し合う)ための「実況ch」というカテゴリーが設置されている。これらの板において特に盛り上がるのはサッカーの日本代表などのスポーツ中継だ。*3大きな試合中継時ともなると、回線がパンクするほどの膨大なトラフィックをみせる。
この実況板に書き込みをする人々の多くは、実際に放送を見ながらの操作である。(テレビがみれずに実況だけを見て楽しむ人もいるただし、1)パソコンの画面とテレビ画面を交互に見るのは面倒。 2)定期的に更新するのが面倒。 と言ったような問題点があった。
これらを半分解決したのが実況板を実況するツール「Ballo!」である。「Balloo!」を起動するとタスクトレイに常駐し、2ちゃんねる掲示板の実況スレ(実況スレ以外も可)を定期的にチェックし、新着レスを画面の右下隅にポップアップ表示してくれるフリーソフトである。最近ではテレビボードのついたPCは珍しくないので、PC一台でテレビと2ちゃんねる実況の両方を楽しむ事ができる。しかし書き込みには対応していない。(だから半分解決)しかしながら、この「Balloo!」には、リアルタイム共有感覚を刺激する要素が大いに盛り込まれているように思える。

リアルタイム共有体験をサポートするWEBサービス

インターネットは物理的空間差によって生じる時間制約を取り払ったと言われるが、IMを使ったチャット等を除き、厳密にリアルタイム性を実現したWEBサービスというのは実は数少ない。これは我々がWEBから情報を取り出すとき、ほとんどが「送信」→「処理」→「返信」というサーバークライアントモデルの手順に従ったやり取りを踏んでいることもひとつの原因である。「Ballo!」のように定期的な自動更新があれば限りなくリアルタイム通信に近づけることが可能だが、これも厳密には“同時”とは言えないし、限界がある。
ただ、これはシステムの課題によってすべて解決される問題ではなく、重要なのはいかにして人々のリアルタイムな共有感覚をWEBでサポートする仕組みを作れるか?にかかってくるだろう。例えば、「ニコニコ動画」のように厳密にはリアルタイムではないにしろ、擬似的に人々の共有感覚を喚起できれば十分に面白いサービスとなる。
ところで、今巷で流行っている「Twitter」も、このリアルタイム共有体験をサポートするWEBサービスであると私は考えている。そこには毎日寝る前に一括して確認する日記やブログにはない、「今、周りは何をしているのか?」を共有するおもしろさが存在する。*4
そして見逃してはならないのが、このような特性をもったサービスが携帯電話との親和性が高いということだが、これについてはまた次回のシリーズに持ち越させていただく。

*1:もちろん時間差投稿によって生まれるおもしろさもニコニコ動画の特徴のひとつである。例えば「字幕職人」と呼ばれる者が行う字幕投稿を駆使した演出は時間差投稿がなせる技である。

*2:パブリックビューイングやスポーツバーに集まる人々などはまさにそれ自体が目的となっている。

*3:スポーツ中継以外にも2ちゃん受けしそうな事件の特番なども大いに盛り上がりを見せる。

*4:リアルタイム共有体験を最も広いスケールで享受できるツールが「Twitter Vision」である。これについてはまた後日詳細をUPしたい。